[#KeepgoingTOGETHERプログラム] 第7弾 人形劇団プーク「STAY PUK」プログラム

山口遥子|人形劇団プーク 団員

1. オンライン配信を実施しての所感

 過去に力を入れてやってきたわけではないオンライン配信を始めるにあたり、劇団内部でも、「映像でお客さんにどれだけ喜んで貰えるのか」「本当は劇場に足を運んで見て欲しいのに、映像だけでこんなものかと思われては困る」といった声があり、今回の配信は多分に不安を含んだ挑戦であった。しかしいったん始めて見ると、想像を超えた反響があり、大変驚かされ、勇気づけられた。アニメを見慣れきった子供たちに人形劇を映像で見せても、刺激が足りず、すぐ飽きてしまうのではないか、という予想を裏切って、子供たちは強烈な反応を見せてくれた。演劇や人形劇の力、というようなものを感じざるを得なかった。一度見て終わりではなく、何度も何度も見たがった、という声が沢山の親御さんたちから聞かれた。子供たちが夢中で鑑賞する姿、鑑賞後に子供が書いた人形の絵、自らつくりはじめた人形劇の写真などを、twitterやFacebookなどで共有してくれた方々も多く、それが劇団員たちの大変な励みとなった。 

限定配信『もりのへなそうる』より場面

劇団員たちにとって、劇場に足を運ぶお客さんの反応がなにより嬉しく、それが生きる糧、芸術活動を続ける糧となるのであって、今回のコロナ禍による劇場閉鎖は半ば生きる意欲を削がれるような事態であった。「こどもの日」に合わせて、家にいる子供たちのために・・・と始めた配信活動であったが、むしろ劇団員を勇気づけ、劇団内部の賦活に繋がったことも大きな成果だったと言えるだろう。

 また、プークの未来の観客層拡大にも繋がったのではないかと思われる。『もりのへなそうる』の6日間の再生回数は1万3千回を超え、これまでプークの人形劇を見たことがないという人々にも届けられた。今回のパンデミックは公演中止・劇場閉鎖・フェスティバル中止など世界の人形劇界を苦境に陥れるものであったが、わたしたちプークの活動をはじめ、世界各地の人形劇団・劇場がさまざまに知恵を出し合って新たな創造活動への道筋を模索している。今回のオンライン活動は、この危機を契機に人形劇の創造活動がかえって活性化し、観客層もより拡がっていくきっかけとなるかもしれない。日本人形劇界をリードしてきたプークがその流れに今後も寄与できることを願ってやまない。

2. オンライン配信準備に要した時間、人数、環境

 配信までに要した準備時間は約2週間。今回の公開のため、過去の収録映像の編集にあたったスタッフは2名(一名は劇団員、もう一名は外部技術者)。新たに撮影した映像では、役者3人が操演に当たった。

 またグラフィックデザイナー1名、ホームページ整備等制作面のスタッフ3名を入れて、合計9名のスタッフが今回のオンライン配信に中心的に携わった。その他にも多くの劇団員が技術的面やアイデア面でサポートした。

「プークといっしょに歌おう」シリーズより、新規撮影場面

3. オンライン配信準備で苦労した点・工夫した点

 すでにYoutubeで公演動画を公開している人形劇団体は多くあり、プークも過去に短い告知動画などを公開したことがあったが、それほど浸透している様子が見られなかった。そこで、今回あらためて多くの観客にリーチするために、「新規プロジェクト」として印象づけられるよう、洗練された印象の目を惹くロゴを制作して差別化を図った。若手の、軽やかなデザインを特徴とするグラフィック・デザイナーを起用した。

 また今回配信した上演映像では、「子供たちの笑い声がすでに含まれている」という点が、(実は意図していなかったが)非常に効果的に作用したように思われる。視聴した方々から、「映像の中の子供の観客の笑い声を聞いて、自分の子供も一緒になって笑っていた」という声が多く聞かれた。視聴した子供たちの反応が非常に良かったのは、無観客配信ではなく、観客の反応(笑い声や拍手など)が含まれた映像だったからではないか。完結した映像作品ではなく、舞台空間の雰囲気が伝わり、見た人も一緒になって映像に反応することを促す映像であったことが非常に効果的だったと思われる。

<配信プログラム>

STAY PUK『もりのへなそうる』ほか

  • 実施日:2020年5月1日~6日 その後毎週土曜日(継続中)/STAY PUK 専用ページ
  • 内容:期間限定『もりのへなそうる』全編無料配信、およびミュージッククリップ等の「ミニミニ動画」配信
  • 告知方法、使用した広報ツール:Facebook, 人形劇団プークtwitter, ラジオJ-wave, ステージナタリー、kodomoe、福音館書店twitter等
  • 使用した配信ツール:YouTube 人形劇団プーク
  • 視聴者の反応を得るために工夫した点:ハッシュタグ #staypuk
  • 視聴者数:
    『もりのへなそうる』5/6公開終了時点で 13,486回視聴
    その他、ミュージッククリップ「明るい町のお誕生日」(『怪じゅうが町にやってきた』より)5/7現在で1,837回視聴など。
    YouTubeの登録者数はこの活動をきっかけに倍増し、1260人となった。