FITS ONLINE- EMPOWERED 

コンスタンティン・キリアック|シビウ国際演劇祭President
© TNRS, Rareș Helici

新型コロナウイルス(Covid-19)のパンデミックを受け、シビウ国際演劇祭は今年予定されていた500のプログラムの開催を来年に延期することに決定しました。しかしながら、私たちはこのような状況下にあっても観客の皆さんに近しくありたいと思い、「Empowered」をテーマとした特別なオンライン版演劇祭を6月12日~21日に開催しました。オンライン版演劇祭は私たちのウェブサイト、Facebookページを通して配信されました。

 

ルーマニア政府大統領の手厚い支援のもと実施された今年の演劇祭は、国際的に高く評価されている、世界の素晴らしいパフォーマンスのいくつかを「オンライン上の舞台」にお招きすることができました。オンラインでの開催となっても演劇祭の枠組み自体はこれまでと同じ、27年間慣れ親しまれたものを採用しました。その中には演劇、ダンス、屋外公演、現代サーカス、音楽、オペラ、映画、特別に企画されたカンファレンス、演劇フォーラム、シビウ・パフォーミングアーツ・マーケット、博士課程プラットフォーム、そして子ども向けの新しい企画「FITS for KIDS」といった、13以上の分野が含まれます。フェスティバルのプログラムは、毎日、午前9:30から開始し、午前0:00に終了しました。

 

今回のオンライン版演劇祭では、上演作品のふるさとであるアジア、北米、南米、オーストラリア、そしてヨーロッパという5大陸の異なるタイムゾーンの観客たちが視聴できるよう、すべてのプログラムがルーマニア時間と他のタイムゾーンに向けて再配信されました。あらゆる障壁、パンデミック、全世界の半数以上の人々が身動きできないという状況の中でも、私たちはシビウ国際演劇祭をオンライン版として開催することができました。夢想、美しさ、奇跡が世界中の家々にもたらされたのです。オンライン版演劇祭は100以上もの国々で視聴されました。このような多数の観客を獲得できる他のイベントは、おそらくオリンピックのみでしょう。オンライン版演劇祭のために立ち上げられたウェブサイトを見て、#FITSonlineという例外的な試みが150万以上もの人々のもとに届き、80万を超える視聴回数を記録し、20万以上の人々がサイトを訪問したことを知った時、私たちは喜びに包まれました。このような数字は私たちがこれまで握手をしたり、観衆の笑顔を見たり、すべての場所に人が溢れていた時にはまったく想像していなかったものです。ここシビウから138のプログラムと共に発信したエネルギーと歓喜が、世界中に到達したのです。これは筆舌に尽くしがたい感激であり、舞台芸術の分野において今後も残り続ける歴史的な瞬間でした。今回の成功を受け、通常の公演のほか、来年も、遺産とすべき素晴らしい作品群のオンライン上演を実施することにしました。私たちは今回得られた成果のすべてを来年の演劇祭に活かしてゆくつもりです。さらに、今年7月から来年1月9日までの毎週土曜日に、1日ごとのオンライン版演劇祭のプログラムを配信することにしました。つまり、プログラム全体が3回以上配信されることになります。私たちは、シビウで実際に開催される特別なカンファレンスや朗読公演が意味することについても広めていくつもりです。しかし何よりもシビウの、ルーマニアの、そして世界中の観客たちとこの素晴らしい関係を保ち続けていくことに力を注ぎたいと思います。私は、これが文化外交の中で最上のことであると考えています。また、私たちは夢見ることなしに、また奇跡や感情なしに人間が生きることはできない、ということを世界の人々が理解することを願っています。「The power to dream」は来年の演劇祭のテーマでもあります。最初は不可能だと思われたにも関わらず素晴らしい結末を迎えることができた、オンライン演劇祭というこの野心的な試みに理解を示し、力を注いでくれたすべての人々に祝意を表します。

 

第28回目を迎えるシビウ国際演劇祭は「The power to dream」をテーマに、来年6月11日~20日に開催されます。来年は500以上ものプログラムが世界中からシビウに集結するほか、今年に引き続く取り組みとしてオンラインで視聴可能なプログラムも実施されます。今回の特別なオンライン版演劇祭は大統領の手厚い支援のもと、ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場により主催されました。シビウ市役所が今回の取り組みへの資金的支援の大部分を担い、ルーマニア政府文化省からの助成も受けました。

 

私たちは皆さんに、日本はルーマニアに次いで最大の視聴回数を記録した国であったことを喜んでお伝えしたいと思います。日本のパフォーマンス作品、アーティスト、大学教員の皆さん、建築家の方々、アートマーケット・マネージャーの皆さんはオンライン演劇祭という場で特異な魅力を放ち、日本の舞台芸術分野と観客の質の高さを表していました。104の国々の観衆がこの「とてつもないマラソン」にオンラインで参加し、奇跡、友情、そして対話をもたらしてくれました。