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欧州文化首都における日本関連プログラムを支援しています

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[Vol.87] ひらめきを呼ぶアートの新視点

アーレン・ホイヤーシュテン

アロス・オーフス美術館ディレクター

初めに、訪日の機会を与えてくださった欧州文化首都オーフス2017と、EU・ジャパンフェスト日本委員会に感謝したいと思います。私達はこの滞在で、2017年欧州文化首都の期間中にアロス・オーフス美術館で開催を予定している「ザ・ガーデン」展に関わる打ち合わせを行い、多大な成果を上げました。「ザ・ガーデン」展は、アートと哲学の歴史を通じた人類と自然の関係に焦点を当てるものです。本展では、歴史的観点と現代的な見方の両方を提示していきます。

歴史のなかで、庭園は科学的研究が営まれる場所、ひとりで内省するのためのオアシス、あるいは娯楽の場として見なされてきました。我々の文化では、庭園は文明と自然が出合う場所であり、二つの世界の狭間に存在する瞑想の場所とされています。庭園は、異なる文化的文脈によって多様なニーズを満たすことから、多様性を表す理想的なイメージであり、それが私達の世の中を形成し、自分達の居場所としてくれているのです。

こうした視点や考察を踏まえ、私はひらめきを得たいという熱い思いを胸に日本へ向かいました。東京では、ミーティングの詰まった多忙なスケジュールとなりました。そのなかに、東京富士美術館、フレディ・スヴェイネ駐日デンマーク大使、そして美術家の中谷芙二子氏とのミーティングがありました。この訪問で私達は中谷芙二子氏と会合し、我々美術館側が期待に胸を膨らませている「霧の彫刻」の一作品のインスタレーションをアロス・オーフス美術館の屋上に制作していただく運びとなりました。作品は現在制作過程に入っており、中谷芙二子氏は作品の設置に向けて、気象条件などの詳細について調査に入っています。

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ベネッセの島として知られる直島、豊島、犬島への旅は、私にとってキュレーション面での刺激となりました。これほどまでに自然な形でアートと自然が溶け合う光景を目にしたことは驚きでした。これがきっかけで、「ザ・ガーデン」展を新しい視点で考えるようになりました。私達は島内を自転車で周遊しながらアート作品とインスタレーションの数々を鑑賞し、すべてが調和する姿や、美術館が自然の一部として完全に一体化し、作品に結びつく要素とは別物と見なされないその在り方に、美しさを感じました。こうした人類と自然と建造物の融合が、本展をどのように計画していくか考える上で、私に大きなひらめきをもたらしてくれたのです。さらに私達は今回の訪問を土台に、福武財団をアロス・オーフス美術館にお迎えし、この関係を具体化していく方法を探求したいと思っています。

スカイ・ザ・バスハウス・ギャラリーを経営するギャラリスト、大坂紘一郎にお目にかかる機会にも恵まれました。ここでは、現代の日本のアートシーンについてご教示いただきました。スカイ・ザ・バスハウスは森万里子氏を擁するギャラリーで、そこで彼女の最新の作品が鑑賞できたことを、嬉しく思います。その後、日本の現代アート事情について話し合い、オーフスで行われる「ザ・ガーデン」展でより多くの日本人作家に発表してもらう可能性をさらに深く模索しました。

先にも述べました通り、私達は東京のデンマーク大使館と非常に意欲的なミーティングの場を持つことができました。心地よい晩を過ごすなかで、私達は大使館が関係している欧州文化首都関連の今後のイベントに加え、日本・デンマーク外交関係樹立150周年を記念する祝賀行事について伺いました。現在、デンマークにおける日本文化の推進だけでなく、日本でのデンマーク文化の紹介の両方を目的とした、活気溢れる特別なプログラムが多数計画中であることを知りました。アロス・オーフス美術館でも、今後そうした進行中の対話の一部を成すことを望んでいます。

日本訪問の機会を与えてくださった欧州文化首都オーフス2017、EU・ジャパンフェストに、重ねて感謝いたします。今回の旅は真に感動的で、またいつか日本を訪れ、東京や日本の他の地域で自然と文化の両方の要素をもっと体験したいと願っています。EU・ジャパンフェストにはとても温かく迎えられ、親身にお世話いただきました。事務局長の古木氏と夕食ミーティングをご一緒できたことを、私と私のスタッフ共々喜んでいます。食事と東京の街の夜景を堪能し、参加した皆さんも出会えて光栄でした。異なる背景を持つ人々と出会い、話しをすることはいつも刺激的で、実にインスピレーションに満ちた夕べとなりました。

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フレディ・スヴェイネ駐日デンマーク大使と

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