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欧州文化首都における日本関連プログラムを支援しています

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[Vol.122] Love Music, Love your life

廣 めぐみ

伊勢少年少女合唱団 代表

昨年6月、地中海に浮かぶ美しい島、マルタ共和国で開催された、≪欧州文化首都ヴァレッタ2018≫の事業の一環である「国際青少年音楽祭」に私たちは参加させていただきましたが、そのご縁で今年の7月25日から8月1日までの8日間、今度はマルタ共和国からSOPA合唱団が伊勢に来られました。音楽と生活を通じて互いの子どもたちが異なる文化を肌で体感する、創立13年の私たちにとってはかつてない大きな経験になりました。

 

この音楽祭を開催するにあたり、未来を担う子どもたちの国際交流活動に賛同してくださった伊勢市教育委員会が共催として協力いただき、会場の提供、マイクロバスの手配など、また伊勢市文化協会も民謡踊り、茶道、箏、三味線など様々な文化体験に協力してくださいました。川遊びをしたことがないマルタの子どもたちに川と親しんでもらおうと横輪町活性化委員会と環境省にもお手伝いいただきました。このプログラムを成功させようと、資金集めのため演奏会の度にペットボトルで作った貯金箱で寄付金を募り、また保護者が市内の企業や商店に回り協賛金を集めました。更に、8日間の滞在が充実したものになるようにと一般の方にも協力いただき、ブルーベリー狩りなどもできました。他にもお菓子工場見学や大正琴、華道など、お声をいただいていたにも関わらず残念ながら行程に入れられなかった企画もありました。書道では好きな言葉を漢字で書いたり、家族の名前やペットの名前をカタカナで書いて、先生に添削してもらい、清書した色紙に落款を押してもらい、手作りのお土産になりました。鋏を使わない折り紙では、「折れ線をつける」という手間に疑問を持ちつつ一苦労も二苦労もしながらも、最終的に歌う口が出来上がるとしきりに動かして遊んでいました。箏、三味線体験は初めての楽器に戸惑いながらも、ばちや爪を使い「さくらさくら」を発表できるほどになりました。座禅体験では、足が痛くなりながらも内面を見つめる貴重な時間を過ごし、翌日の茶道では、自分を磨くことを超えて相手への最上級のおもてなしを提供する気持ちを体験できたと思います。また、プレゼントしてもらった浴衣をピョンピョンはねながら喜んで着て、民謡踊り大会に参加、伊勢音頭からビューティフルサンデーやダンシング・ヒーローまで元気に踊りきりました。川遊びは音楽祭の緊張から解放され、久しぶりの水に元気を取り戻し、なかなか川から上がりませんでした。

 

 期間中、音楽祭を含む5つの演奏、7つの日本文化体験、4つの施設見学など盛りだくさんの内容でしたが、長旅の疲れ、時差の相違、さらに連日気温35度以上という日本の蒸し暑さがマルタから来た子どもたちの体力を奪いました。音楽祭前日の夕方、市立伊勢総合病院でのロビーコンサートでは体調不良が何人も出て、わずか13人で演奏することになりました。まるで昨年の伊勢少年少女合唱団を見ているようでした。昨年の6月4日音楽祭の当日午後、教会でのリハーサルは半数の団員しか参加できず、残りの団員はベンチに横になって扇子をあおいでいたのを思い出しました。まさか快活で元気いっぱいのマルタの子どもたちがこんなにもダウンするとは思いもしませんでした。ロビーコンサート後、SOPA代表のロレイン・アクイリーナ先生から、今日の状態では、今回のメインである翌日の奉納演奏に出演できない、と言われました。ここまできて、一番大切な日の舞台に出られないことは避けようと、スタッフで話し合い、午前中と午後の空き時間はしっかり休養を取ることにして、奉納演奏と音楽祭に全力で歌えるように予定調整をしました。結果、奉納演奏、音楽祭ともほぼ全員で出演することができました。音楽祭は満員で歓声が上がる大盛況、また、その後のレセプションパーティーも賑やかなものになりました。私たちは、SOPA合唱団と再び共演できることになってから、昨年のマルタ共和国での音楽祭を伊勢の皆さんに聴いてもらいたいという思いで準備を進めてきましたが、ここまで再現できたのは感無量でした。音楽祭の会場の雰囲気、レセプションパーティーの賑やかさ、まるで日本を飛び越えマルタ共和国にいるようでした。

 

 最終日、SOPA合唱団のメンバーがバスに乗り込むと、みんな泣きながら「故郷」と「FEEL GOOD」を歌っていました。まだ西日が強いのも気にせず。窓を開けて手を繋ぎ、いつまでも放さない。バスが発車するとひたすらに走ってバスを追いかけていく伊勢の子どもたち。「またいつか会える」と思っても、別れは寂しいものです。

 帰国後、ホームステイをした家族から「帰ってから話が止まらない」とメールが入って来ました。大変な思いをしたけど、それよりもたくさんのことを収穫できたのだと思います。こちらでは英語に興味を持ち始めた団員、本腰を入れて英語を勉強する団員も増えました。ピアニストのトム・アーミテイジ氏が今回、両団のために書き下ろした「矢と歌」を歌い続けている団員もいます。

ロレイン・アクイリーナ先生からは「これからもこの交流を続けていきましょう」とお声をかけてくださいました。ともに音楽と人生を愛する仲間。近い将来、私たちはまたマルタ共和国で歌っていることと思います。

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