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[Vol.267] V4を巡る音楽の旅

エメシェ・コバ―チ

リスト・ハンガリー文化センター・文化担当官

ヴィシェグラード4カ国(V4)は、1991年2月に当時のチェコスロバキア(当時)、ポーランド、ハンガリーの友好と協力を進めるため、ハンガリー北部のヴィシェグラード(Visegrád)でそれぞれの大統領によって発足しました。本年は31年目にあたりますがその議長国は各国持ち回りで、2022年6月まではハンガリーが務めたため、その任期のフィナーレを飾るクロージングコンサートを、港区三田会様のご協力により、慶應義塾大学三田キャンパス北館ホールにて開催しました。


今回のコンサートは、「音楽」という分野になりますが、それは、V4と日本を繋ぐ数多くの分野の一つでありながら、大変重要な分野でもあります。本コンサートでは、ハンガリーから来日中のヤボルカイ兄弟はじめ、ヴィシェグラード4か国に繋がりを持つ演奏家が出演し、各国ゆかりの作品を演奏することにより、その良好な協力関係をご紹介しつつそれぞれの国の歴史、文化をお伝えする事を目的とし、会場の皆様を音楽の旅へとご案内いたしました。

ヤボルカイ兄弟、原田綾子さん ©リスト・ハンガリー文化センター

コンサートは、駐日ハンガリー大使のご挨拶で幕を開け、議長国持ち回り順であるハンガリー、スロバキア、チェコ、ポーランドの順に進行しました。具体的なプログラムといたしまして、まずハンガリーは、ポッパーの「ハンガリー狂詩曲作品68」をチェロとピアノで、コダーイの「ナジカーローのカップルダンス」をヴァイオリンとピアノ、フバイの「チャールダの情景第4番作品32「ヘイレ・カティ」のヤボルカイ編曲版」をピアノ三重奏にて演奏いたしました。出演は、来日中のヤボルカイ兄弟と、これまでに彼らと共演経験のあるピアニスト原田綾子さんでした。

 

ヤボルカイについて簡単にご紹介すると、2009年にウィーンのグラミー賞として名高い「ウィーン・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、ウィーンに現存する唯一のモーツアルトの住居で、現在は博物館となっているモーツアルトハウス公認のカルテット「モーツアルトハウス・ウィーン弦楽四重奏団」のメンバーであり、今回の来日公演では、フジコ・ヘミング氏との共演も果たしました。

 

ピアニストの原田綾子さんは、愛知県出身で、愛知県立芸術大学大学院を卒業後ハンガリー国立リスト音楽院に留学し、第18回ヴァレンティノ国際音楽コンクール第1位並びにヴァレンティノ大賞、ソロリサイタルでは名古屋市民芸術祭特別賞等を受賞され、現在、名古屋音楽大学等で後進の指導も行っていらっしゃいます。ヤボルカイ兄弟の超絶技巧にピアノが絶妙に溶け込み、会場は一気にハンガリーの空気に包まれ盛り上がり、急遽アンコールでサラサーテのツィゴイナルワイゼンが演奏されました。


次に、スロバキアからは、ヤン・ツィケルのピアノ小曲集である「子供たちが私に語ること」から10曲(1~3、5、6、8、12~15)の抜粋、更にはピアノ連弾曲である「ドゥパーク」が演奏されました。ヤン・ツィケルは、昨年生誕110周年を迎えた20世紀に活躍したスロバキアを代表する作曲家で、今回演奏された二つの作品の楽譜は、演奏した渡辺絢星さんと川本嵐さんがこのコンサートのためにわざわざ取り寄せて準備を重ねました。渡辺さんと川本さんは、共にハンガリー国立リスト音楽院で学び、同大学院を修了した仲間で、ハンガリー政府Stipendium Hungaricum奨学金の元奨学生です。現在、渡辺さんは、ブダペストから持ち帰った1912年製ベーゼンドルファーを相棒に、「ふるいはあたらしい」をコンセプトに演奏活動を行い、川本さんは第29回ローマ国際ピアノコンクールの新進ピアニスト部門で第一位に輝き、現在、桐朋学園大学大学院博士後期課程に在籍しています。一曲目が始まった途端、会場の雰囲気はスロバキアに変わり、連弾では、仲間同士の見事な呼吸と掛け合いで会場を引き込みました。


3番目はチェコのピアノ三重奏で、チェコを代表する作曲家ドヴォルザークのピアノ三重奏曲第四番作品90「ドゥムキー」から第1、2、6楽章を取り上げました。先程のスロバキアに続きピアニストは川本嵐さん、そしてチェロは同じくハンガリー国立リスト音楽院で学んだ仲間でハンガリー政府Stipedium Hungaricum奨学金の元奨学生である相浦薫さん、ヴァイオリンは、川本さんと同じ桐朋学園大学大学院博士後期課程に在籍し、ドヴォルザークの研究をする松本華子さんでした。チェロの相浦薫さんは、大阪の相愛大学音楽専攻科を卒業後リスト音楽院に留学し、現在は演奏活動を行う傍ら、複数の音楽教室で後進の指導行っています。名曲をじっくり聴かせる深みのある演奏に、会場は魅了されました。


最後は、ポーランドの美しいピアノ作品が、会場を優しく包み込みました。曲目は、ショパンのマズルカ作品24とポロネーズ作品26―1、パデレフスキのメヌエット作品14―1で、ピアニストの島貫愛さんが演奏しました。島貫さんは、ハンガリー国立リスト音楽院でハンガリー政府Stipedium Hungaricum奨学金の奨学生として学んだ後、ドイツ国立シュトゥットガルト音楽演劇大学にて学び、ドイツ国家演奏家資格を取得しました。リスト音楽院弦楽器科のコレペティトゥールを務め、ケチケメートのコダーイ財団よりコダーイ・ゾルターン賞を受賞され、現在は日本ショパン協会正会員、さいたま市文化振興事業団登録アーティストとして演奏活動を行っています。舞曲でまとめられたプログラムは軽やかに会場をポーランドへと導き、ヴィシェグラード4か国を巡る音楽の旅は終着点に到着しました。

V4クロージングコンサート出演者集合写真 ©リスト・ハンガリー文化センター

会場は、EU加盟国の大使や各国に関わる企業の役員等ほぼ満席のお客様をお迎えし、公演終了後には多くの好意的なメッセージを頂戴しました。
最後になりましたが、本コンサートを開催するにあたり、EU Japan Fest、慶應義塾大学、港区三田会の皆様には多大なるご配慮、ご協力をいただきました。また、その他にも沢山の方のご尽力があってコンサートを実現することができましたので、全ての皆様に心から御礼申し上げます。

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