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[Vol.137] 『七つの丘の街』古都プロヴディフに日本古来の芸術『いけばな』を紹介する

ミロスラヴァ・イヴァノヴァ

ソフィア草月流研究会会長、ミラクル・ワークス/ミラクル・イケバナオーナー

私が情熱を注ぐ「いけばな」は、自然の美しさ、精神の哲学、リラックスした心理状態、そして創造性を組み合わせた芸術です。ブルガリアでは、いけばなという言葉はよく知られているものの、その本質についてはあまり知られていません。首都ソフィアにはブルガリアのいけばな作家のコミュニティと公式の草月流研究会がありますが、ブルガリアで二番目に大きい都市プロヴディフではいけばなを目にする機会はありません。プロヴディフの人々や訪問者に日本のフラワー・アレンジメントを記憶に残る形で紹介する―これが、私がこの草月流いけばなアート・プロジェクトを通して達成したかったことでした。

 

第一印象が大切とよく言われますが、私はいけばなを紹介するにあたって、ただ良いだけではなくたぐいまれな第一印象を与えたいと考えました。そこで、東京のいけばな草月流の本部教室から、たぐいまれないけばな作家である州村衛香先生と大久保有加さんをご招待したのです。

プロヴディフ文化会館(Plovdiv Cultural Institute)で、州村先生は草月流のトレードマークでもある竹を使った大きなインスタレーションを制作され、展示会を訪れた人全員を感動させました。この作品はプロヴディフ文化研究所で四日間展示されました。草月流ソフィア研究会のメンバーと日本からのゲストによる二十点以上のいけばな作品が展示された本展示会は、日本とブルガリアのアーティストの真のコラボレーションというべきものでした。

 

2019年5月16日の展覧会オープニングでは、州村先生による観客を巻き込んだあまり「伝統的」ではないいけばなのデモンストレーションが行われ、観客から高い評価と多くの賛辞を受けました。会場は、州村先生のデモンストレーションの様子や展示作品の写真や動画を撮影したり、いけばなについて高い関心を寄せ質問したりする人々でにぎわい、主催者としては冥利に尽きる思いでした。

オープニング翌日からの三日間、たくさんの方が展示を観るため来場されました。しかし、私は訪れた人たちに、作品を鑑賞するだけでなく、素晴らしい先生に教わりながらいけばなを体験してもらいたいと思っていました。

 

2019年5月19日日曜日には、プロヴディフ文化会館で、州村先生のご指導のもと、「一緒にはじめてのいけばな作品を作りましょう」と題したワークショップを、午前と午後それぞれ一回ずつ開催しました。

ワークショップには、プロヴディフだけでなく、近隣の都市パザルジクとスタラ・ザゴラ、隣国のポーランド、さらには「近隣の」大陸からも(プロブディフを訪問中だったオーストラリア人の若い女性もいけばなに挑戦しました)三十名以上の参加者がありました。参加者には子ども連れのお母さんたちもいらっしゃいました。また、ほとんどの参加者が女性だった中、いけばなが遠い過去にはサムライにもたしなまれていたことを知る二名の男性にもご参加いただきました。

ワークショップは、いけばながもたらす純粋な喜びと楽しさに満ちていて、州村先生は参加した「初心者」の方々の能力と意欲に驚いていらっしゃいました。参加者はワークショップの最後に自分がいけた作品の写真を撮り、州村先生のご署名付きの証書を受け取りました。

 

いけばなのワークショップの後、新しく参加された方々の顔が明るくなり喜びで輝く様子を見ると、私はいつも胸がいっぱいになりますが、今回は州村先生が参加者を惹きつけ上手く巻き込みながらワークショップを進められるのを拝見して、いつもに増して感動しました。

 

展覧会においでになり、州村先生のワークショップにも熱心にご参加になったある女性が大変印象深かったので、その方についてお話したいと思います。その方はプロヴディフの公共図書館で働いておられます。いけばながとてもお好きで、図書館が所蔵するいけばなについての本を全部お読みになり、本の中にあるやり方を見ながらおひとりで花をいける練習をなさっていました。今回日本からいらっしゃった先生と一緒にいけばなをする機会があって本当に嬉しかったそうです。なぜそんなにいけばながお好きなのかと尋ねると、「私は前世日本人であったに違いありません」と、この通りおっしゃいました。

草月流いけばなアート・プロジェクトを通じて、異例のアイデアと一年間の努力と苦労がこのように見事に実を結んだことを誇りに思います。EU・ジャパンフェスト日本委員会、プロヴディフ2019財団、プロヴディフ文化会館、そして草月流東京本部という素晴らしいパートナーの支援があったからこそ、この異例のアイデアが実現しました。

草月流いけばなアート・プロジェクトは、プロヴディフでいけばなを広めるための素晴らしい出発点となりました。古都プロヴディフの人々は今後積極的にいけばなに取り組み始めることと思います。また、このプロジェクトは州村衛香先生と大久保有加さんの所属する草月流東京本部およびイケバナアトリウムと私たちが今後コラボレーションしていく上での素晴らしい契機となりました。

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