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[Vol.182] [#KeepgoingTOGETHER] Vol. 49 ② / レクイエムさちこ with Love & Intestine on the Earth

Ichi Go、生谷幸大

SACHIKO PRODUCTION / 電気神楽(ELEKTRO KAGURA)

オンライン配信準備で苦労した点・工夫した点 

準備段階で、苦戦は予想されていたが、結果本番でも苦労と工夫が入り乱れる状況となった。東京のパーカッション担当の小野史敬氏との調整は、前日に行えたものの、出演者は全員フリーで働き、また緊急体制下であるがためにツアーがキャンセルになったからこそ、この日予約できたのだったから、リハーサルや拘束時間を極力抑えることは暗黙の前提条件であった。そのため、一番クラシック音楽に明るいトランペット奏者 Damir Bacikin 氏からの申し出もあって、本番の 4 日前に Zoom 会議を開くことになった。各々がはじめましての自己紹介から、 Requiem への解釈、それぞれの課題と、併せて予算と時間、オンライン中継といった条件下で最大限できることを、提案も含めて知恵を分けあった。主催者私共2人をホストとし、他の出演者はお客様(ゲスト)として、この難解な音楽とアート、現実とネットの仮想現実の世界の醍醐味を各自の持ち場をしっかり守るような形で存分に表現できるよう、こちらも確保、保障するよう努めた。会場の上部はロフトになっており、 1.5 mの距離を保ち上手からエレクトロの森本氏、 Bass の Marcel 氏、そしてエレキギターの AXLOTL 氏を配し固定した。当初、以上 3 名を撮影するために設置していた一眼レフカメラでは中継撮影できないことが判明し、やむなく撮影のみとなった。
 いずれにせよ、世界中が混乱や緊急の状況にあり、なおかつ各々が個人的な苦悩を抱えていることを鑑みると、主催者側は必要以上に不安をあおるような過剰な演出、要求は逆効果であり、むしろ、そんなストレスや逆境をバネにして飛躍してきた数々の偉人たちの業績を参考に仰ぎ見ながら、人間はいつでも助け合いながら共生していける、そんな世の中がより心地よいのだということを、敢えて『失敗』から学ぶのだろうことを無言のうちに、態度で示すことを心掛けていた。何が起こっても、大丈夫。という安心感のもと、その瞬間だけは演奏そのものを楽しんでほしいという念願かない、ライブ中継では記録に残らない良質な演奏を私たちは耳にしていた。このことは、自分本位でなんて手前勝手な演出だと戒められることは承知している。しかしながら、私たちは心の底から疲弊していた。このコロナの規制の嵐と、私たちは一体なんのために音楽や舞踊を始めたのか、というそもそもの根本的な問いに。なぜ、いま、ベルリンで?なにを?という正解のない問いに対して、主催者の基準は出演者であったー視聴者よりも先に。そのことはこの場を借りてお詫びを申し上げたい。ライブ中継でのマイクの設定や選定の失敗。これは十分に改善できるし、しなければならない。今回の件についてはアーカイブ用に録音したものを後に編集して視聴者や出演者にも心地よい記録映像を編集することで改善案とさせていただきたい。
(Ichi Go)

©熊谷匡昭

今後のご活動におけるオンライン配信の活用や展開について

このプロジェクトを通して行ったネットの活用は、舞台表現において大変成果の大きいものとなりました。8月にベルリンの演劇・ダンス施設Theaterhaus Berlin Mitteで公演する際にも積極的に取り入れる予定です。今回よりも建物・規模も大きくなりますが、今回で習得した技術・表現を土台にし、空間にあわせて実現させていきたいです。さらに、来年予定のUfer Studioや、Theater im Dephiでの公演予定の新作にも活用できると確信しています。多画面同時に様々な事が起こる群像劇的な表現は、観客が自ら自分の視点を選び、楽しむという積極的な楽しみ方ができると考えます。また、観客が会場に来なくても、世界のどこにいても、作品を見て楽しめるプラットフォーム造りや、劇場だけではなく舞台が街の中でも体験できるような、作品と観客の新鮮な関係を保っていきたいと考えています。
(生谷)

オンライン配信準備に要した時間、人数、環境

ベルリンの私のアトリエにて、ダンサー2名、音楽家5名、美術家1名、カメラマン1名、アシスタント3名によるオンラインミーティングソフトStreamyardを通してYouTubeStudioでライブ配信を行いました。ダンサーのIsmaeraはパリから、音楽家の小野史敬氏は東京からの参加してもらいました。
 パフォーマンス前日15時から19時の間にアトリエで、主に音楽と映像中心のテクニカルリハーサルを行いました。音に関しては、実験音楽家の森本誠士氏の機材を借り、さらにマイクを購入し備えて、東京から小野史敬氏にも参加してもらい、遠隔での演奏のテストも行いました。映像は、スマホ用の三脚を購入し、カメラとPCをセッティングし翌日のライブ配信の準備をしました。
 アトリエはベルリンの工場地区に位置し、トランペット奏者Damir Bacikin氏の機動力と、カメラマンJide Tom Akinleminu氏の協力でアトリエ外での撮影・演奏も大胆に取り入れる事ができました。私とIChi Goはアトリエ内と外を行き来し、多層的な映像空間を実現し、アシスタント3名は主に、映像配信、撮影記録、セッティング等に携わりました。
(生谷)

 

<プログラム>

レクイエムさちこ with Love & Intestine on the Earth (さちこと「愛と腸」コラボ企画~愛は地球を救う~)

  • 実施日:2020年6月6日
  • 内容
    モーツァルト作曲の”レクイエム”を,ベルリン在住の実力派アーティスト集団による演奏と、ベルリン外のアーティストとも中継し、また多方面から同時に撮影して臨場感を持たせたライブ・パフォーマンスを行いました。レクイエムは 今回の緊急事態でご不幸のあったかたたち、また身近にいる知人友人たちの間にも日々不安と緊張にさいなまれる日々を過ごしている仲間に向けての鎮魂歌、慰みでもあり、また起死回生、芸術の力で互いを鼓舞しあい再生を目指すフェニックス(魂は滅びないというメッセージを込めた誇り高き不死鳥)のうように情熱を燃やし、生き、死ぬことを覚悟したものたちを称えあう場を共創したいという思いでIchi Goと生谷幸広が柱となって企画を立て、理解を示してくれた芸術家たちと有志ボランティアたちで運営しました。
  • 告知方法、使用した広報ツール:Facebook Event Page とメール(ニュースレター)
  • 使用した配信ツール:YouTube
  • 視聴者の反応を得るために工夫した点
    直接連絡を取ったり、出演者のネットワークを通じて多少連絡は取りましたが、レクイエムという著名なモーツアルトの遺作に対しての挑戦に、それぞれの格闘や葛藤がみられたため、そもそもは視聴者を獲得することよりも、まず先に出演者とのコミュニケーションを円滑にすることと、パフォーマンスに集中することを念頭においていました。
  • 視聴回数:88回(6月11日現在)

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