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[Vol.135] [#KeepgoingTOGETHERプログラム第6弾]アーツ・トランスクリエーション アイルランドー日本

大野光子

アーツ・トランスクリエーション アイルランドー日本/愛知淑徳大学 名誉教授

1.オンライン配信を実施しての所感

大坪美穂: 映像を通して瞬時に世界へ向けて配信でき、多くの人々に作品世界を観ていただける喜びを味わいました。映像を通して作品に触れ、更に自分の眼で本物の作品を観てみたい、そう思うほどの興味を持っていただける手がかりとなるオンライン配信は、とても魅力的です。制作に費やした労力と時間は、今となっては貴重な経験となりました。「アーツ・トランスクリエーション アイルランドー日本」は、作品の構成、音楽、紹介文、翻訳、ビデオ制作配信の技術的なプロセス等、年月をかけ、チームメンバーの多様な能力に支えられた、コラボレーションでした。
今回の発信が、オンライン配信を通して世界に発表の場を広げていける機会となれば嬉しいです。

 

2.オンライン配信で得た成果と課題、通常の配信やアーカイブ作成と変えた点、工夫した点

小高雄平: 普段は数分の短尺な映像を配信することが殆どですが、今回はあまり編集を加えず、18 分の長尺のものを公開しました。公開後の2 日間で100 回程の再生数がありましたが、映像視聴の途中離脱の割合が多く、もっと作品やコンテンツを短時間にまとめる工夫も必要であったかと感じました。それでも、動画公開時のアクセス数が、過去のものに比べ多かったように思いましたし、今後、時間の経過とともに国際的に伸びていくことを期待しています。

 

3.オンライン配信準備に要した時間、人数、環境

大野光子: 2020 年4月の最終週に開催が予定されていた Cúirt 国際文学祭の大坪美穂展に間に合うよう、インスタレーション用素材が東京からSAL 便で発送されたのが2月16 日、その時点では予想していなかった新型コロナ感染症の急拡大が全世界に及び、ゴールウェイ・アーツ・センターに荷物到着後間もない3月半ばに、渡航自体がキャンセルされる事態となりました。
当方は当然のことでしたが、招聘元の関係者の落胆も大きく、いったんキャンセルはするが将来可能な状況になれば展覧会とトークの開催を再検討したいとの意向が伝えられました。そこで、事前に日英語字幕等を加えて制作を進めていた2本のビデオを完成し、日愛の関係者たちに視聴してもらったところ、この厳しい時期だからこそ、ぜひオンライン配信するようにとの力強い励ましを受けました。幸いに、EU ジャパンフェスト事務局の支援を受けることができると分かり、国際文学祭の開催時期に間に合うことを目指して配信用の作品を制作、完成することができました。
2 本のビデオは、2019 年12 月に徳島市の音楽ホールで行われた二代目高橋竹山コンサートでの演奏をビデオ撮影した「二代目高橋竹山・小田朋美『ファラオの娘』演奏」のビデオ(大野企画)と、大坪企画の「ヌーラ・ニー・ゴーノルに捧げる大坪美穂作品集」のビデオです。二代目竹山のビデオは、ふたりの演奏者と主催者の好意によって舞台演奏を撮影したものでしたが、大野が入手した時には生の映像記録DVD に過ぎなかったものを、小高雄平の編集によって洗練された音楽作品となりました。また同年11 月から12 月にかけて愛知県立美術館で開催されたグループ展「地球*爆展」での展示作品を含めた大坪作品集のビデオも、会場での作品撮影から編集までを含めて、小高によるアート映像化作品です。
大野がヌーラ・ニー・ゴノールの詩集『ファラオの娘』(思潮社 2001 年)を日本に翻訳紹介してから、このビデオのオンライン配信に至るまでには、20 年近い他分野とのコラボレーションの実績があることは言うまでもありませんが、特筆すべきは、このような新しい手法での発信を実現するための編集・画像確認・校正・チェックの作業が、すべて遠隔操作で行われたことです。投入した時間と労力は決して少なくはありませんが、東京の大坪、山梨の小高、名古屋の大野、そしてアイルランドの関係者全てとオンライン(かつ時差付き)で繋がっているからこそ、短期間でも実現できたと思っています。
厳しい新型コロナのパンデミック状況下でも、強い意思と希望と友情に支えられ、かつEU・ジャパンフェスト日本委員会事務局の激励と支援を得て、このようなプロジェクトが実行できたことは、本当に貴重な経験であったと感謝しています。

<配信プログラム>

●実施日:2020年 4月29日~
●タイトル: アーツ・トランスクリエーション アイルランド―日本

●プロジェクトメンバー:大野光子、大坪美穂、小高雄平
●内容:
2020年の欧州文化首都となったアイルランド・ゴールウェイのCúirt国際文学祭等の招聘により4月に展覧会やトークを行う予定であった大坪美穂と大野光子が、新型コロナ禍のために実現できなかった現地開催に代わる方法として、オンラインで配信した映像作品である。
作品は、「ヌーラ・ニー・ゴーノルに捧げる大坪美穂作品集」ビデオと大野企画による「二代目高橋竹山・小田朋美『ファラオの娘』演奏」ビデオとを合体させたもので、過去20年の間に大野による日本語訳を通してアイルランド語詩人ヌーラ・ニー・ゴーノルの作品からインスピレーションを得て、ビジュアルアートと音楽の分野で創作されてきた成果を伝える内容である。
しかし、それらを日英二か国語によるタイトル・字幕・出典情報等を加えたビデオとするには、ビデオグラファーである小高雄平の参加がなければ成し得なかったし、YouTube配信も不可能であった。その意味で、これは、コロナ危機におけるアート・ジャンルを超えたコラボレーションによって現実化されたプロジェクトであった。

●告知方法:
EU・ジャパンフェスト事務局は前日告知と当日の告知および広報、アイルランド側ではゴールウェイ大学Aistriú、Galway2020、CúirtがEU・ジャパンフェストによる配信開始以後リンクをそれぞれFacebookおよびTwitterにて広報。駐日アイルランド大使館も翌日に同様の広報を行い、日本ケルト協会もFacebookで、そして個人アカウントながら二代目高橋竹山もTwitterでリンクを広報した。

●使用した配信ツール:YouTube (小高雄平のアカウントより配信)

●視聴者の反応を得るために工夫した点:
当初、ゴールウェイに持参して公開することを主目的として制作したアート作品集と音楽演奏の、それぞれ独立した2本の日英二カ国語字幕付きビデオであったが、オンライン配信に適した1本にまとめるために序章をKeynoteで作成し、それをビデオ映像として追加した。ただ、デジタル発信となった事情を説明する序章は、日英二か国語ではビデオ全体が長くなり過ぎるため、ここだけ海外向けに英語のみとした。

●視聴者数(総合計):203名(小高のアカウントによる4/29配信開始から5/5夕方までの集計)
 ※他にアイルランド大使館 Facebookによる再生回数は400回

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