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[Vol.134] 大月での体験:短編映画「ÆRA(エラ)」の制作発展

クリスティーナ・ステンガード

アニメーション・ワークショップ所属アーティスト

四国の大月町で行った滞在制作について皆さんにご報告できることを喜ばしく感じています。このエッセイでは、6週間にわたる滞在制作で私が得た経験や実施した取り組みについての感想を述べたいと思います。まず、私にとって現地での主な探究課題であり目標であった短編映画の制作発展段階について述べ、さらに「あにめのいろは」と協働し開催したワークショップでの体験についてお話ししたいと思います。

私は、大月で行われたアニメーションプロジェクトのプリプロダクションの初期段階に取り組むため、あにめのいろはでの滞在制作活動に到着した最初のアニメーション作家でした。「ÆRA(エラ)」は、要約して言うならば、科学から得た発想を詩にのせて探索する、地球上の生命を詩情豊かに物語った短編映画の制作を目的としたプロジェクトです。この短編作品は、人為的影響をテーマに大量絶滅の事態に主な焦点を当て、サイエンス・フィクションと詩的なアート映画のジャンルの融合を図っています。映画は、哀感漂う約15分の作品となる見込みです。 

私はこの滞在制作で、東京出身のアニメーション作家、小谷野萌さんと共同でこの映画のプリプロダクションを展開しました。小谷野さんは、求められていた独特で魅力あるデザインを実現させ、世界各国の観客に語りかける画風を創り上げるうえで、ご協力、ご指導くださいました。小谷野萌さんとともに、私達は物語のシナリオ、コンセプトアート、イメージボード、アニメーションテストの作成に取り組みました。広々とした作業スペースをご用意いただき、私達は美術制作において良好な協力関係を結ぶことができました。また私は、この映画で伝えたい内容を盛り込んだ絵コンテとレイアウトを手がけました。

「ÆRA」は、気候をベースにしたフィクション映画で、生物多様性が失われ、地球上に実にわずかな生命しか残存しない未来が舞台となっています。この作品は海中で繰り広げられ、地球上で最後の人間が太古の昔から存続する生物に遭遇します。地球最後の人間が古代の祖先に直面したことをきっかけに、その人間である彼女に、今や過ぎ去った人類の時代に向けた真新しいより壮大な視点がもたらされます。この映画には、ティーンエイジャーや青年といった若年層の観客に関わりを持ってもらう意図が込められており、我々の地球そして地球の歴史と未来における人類の役割についての活発な意見が生み出されるきっかけになることを望んでいます。

海洋研究機関に制作スペースが置かれたことで、私達はクラゲに関する科学的知識を収集する絶好の機会に恵まれました。クラゲの専門家が身近にいたことが、多大なインスピレーションの源となりました。戸篠祥博士は、クラゲの不思議な生態から、歴史、生物学、進化、異なる種類に至るまで、多くの事柄についてお話しくださいました。ゴールデンウィーク期間中には、戸篠祥博士がクラゲに関する30分間のプレゼンテーションを行い、引き続いてそのお話に刺激を受けた参加者達がキャラクターデザインとアニメーションの制作に取り組むという素晴らしい体験をさせていただきました。

ワークショップでは、子供と大人の両方の参加がありました。3月と4月に2回、ゴールデンウィーク中に4月29日、30日、5月2日、3日の4回、計6回のワークショップが開催されました。ワークショップはすべて参加無料で、誰もが歓迎されました。合計およそ50名が当ワークショップに参加し、終了後には大変好評で励みになる感想をいただきました。

これらのワークショップでは、基礎的なアニメーションとキャラクターデザインと物語制作に重点を置く傍らで、私達は学びの課程の一環として短編映画「Æra」の発展の流れを紹介する機会をいただきました。この展覧会では、構想から完成作品までのアニメーション制作パイプラインをプレゼンテーションにまとめ、映画の制作工程のなかで私達が取り組んでいたプロセスの段階を示す展示を行いました。また映画に使用される詩が日本語に翻訳され、こちらも本展で披露されました。科学研究者と底抜けに創造性豊かなアニメーターが出会い、双方のグループが互いに学び合うことで、全く異なるふたつの世界の融合を導いた、目覚ましい経験となりました。

総じて素晴らしい経験といえました。私は大いに知見を広げ、集積することができ、それは映画のプリプロダクションで活かされました。この短編映画のためにかなりたくさんの素材を創り上げることができましたので、当プロジェクトの推進に向けて、ピッチ資料の作成に引き続き取り組んでいきたいと思います。

たくさんの他のアーティストが大月を訪れるチャンスを得て、私が感じた安らぎを見出し、各自のプロジェクトの発展に打ち込めるよう願っています。この機会をいただき、私はとても幸せです!

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