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[Vol.80] 豊かな時間を堪能したポーランド剣道交流稽古会・「波」武道祭

山城 宏惟

(財)北海道剣道連盟 副会長
剣道範士八段

序章

この度、誠に有難いご縁で「ポーランド日本親善友好財団 波」を訪れる機会に恵まれた。この幸運な巡り会わせに感謝し、稽古会報告とさせて頂きます。

私共が日常稽古する地域道場の中に、札幌剣道連盟主管の朝稽古(火、木、土、日)、と道庁剣友会稽古があります。そこで、一昨年から毎年来日され熱心に稽古に打ち込むユリアン・グロスキさんとの出会いが始まり、剣道親善友好の機会となり、毎回、恒例の残心の会(稽古後の反省・懇親会)は盛り上がりを見せ、渡波の機会が話題に上がり、本年訪問が決定した。

外国語が不自由な私にとって、語学堪能な石坂英文6段が剣道指導のパートナーとして御一緒して頂いたのは心強く、お陰で旅行の目的を果たし快適で忘れられない貴重な体験を得る事が出来た。貴財団の温情ある計らいに心より感謝致します。

「ポーランド日本親善友好財団 波」の中に設立された龍心会の活動目的は、1.日本の武道をポーランドに普及させること、2.武道家を育成すること、3.競技大会のより良い向上を図ることと掲げております。「剣道は、日本の精神性と伝統を強く体現しており、この事を多くの方々に理解して頂きたい日本の武道だと思います」。と云うユリアンさんの紹介文を読み感動致しました。

今、日本は、科学文明の恩恵化と巨大化に対し、便利さ快適さという善の面でのみならず、身勝手という悪も根付かせ不安な気配が漂う負の社会情勢が深刻化して来ています。国の政策では、学校教育での武道の必修化や関係組織の協力体制は敷かれていますが、必ずしも期待に叶っているようには見えません。武道の大衆受けが困難なご時世です。

日本の剣道も、愛好者だけの組織ではなく、それ以上の役割が求められ社会貢献が期待される時代を迎えてはいますが、その活動機運の盛り上がりは遅遅としています。

日本文化をこよなく愛するポーランドで、日本語を真剣に楽しんで剣道の稽古に取り組む「ポーランド日本親善友好財団 波」の「武道に対する姿勢」と活動、ポーランド剣道連盟の活動に対しましても深甚なる敬意を表し、自己反省の絶好の契機と致します。DSC05528 

剣友達に称讃したい「美しい文化都市ヴロツワフ」の印象

ワルシャワ空港にて、財団理事長グラジナさん、ポーランド剣道連盟事務局長マチエイさん、ユリアンさんの温かい出迎えを受け理事長さん運転で4時間、目的地ヴロツワフの深夜にホテルへ到着、有難うございました。

翌朝、色彩豊富で歴史的建造物の美しい中央広場周辺を散策、ネットで調べた街の歴史を目の当たりにし北欧の先進文化に敬服。静かで上品な落ち着いたホテルのムードは、朝食も種類、味とも大満足。4日間快適でした。

滞在4日間、稽古会、武道祭の行き帰りや初日午前中、ユリアンさん案内の名所散策や見学は、これまでの観光経験地より心身ともにゆったと楽しむことができ、得る事の多い心に残る見学学習でした。全てにおいて歴史伝統レベルの高さを感じポーランド国が大好きになりました。

私の感じた印象は、大聖堂教会の展望台から眺めたオドラ川と旧市街地区のすばらしい展望は、そのまま御国の知性と品格の美しさを感じました。経済的安定感、高等教育の充実、美しい歴史地区、運河、日本庭園等々、そしてスマートな路面電車(トラム)とバス、レストラン前での席での食事や市場で食したイチゴも美味でした。気候も北海道と良く似ており、再度訪れたいポーランド、ヴロツワフのホッとする旅でした。
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ポーランド剣道の印象

ユリアンさんから頂いた写真や北海道でお聞きしていたポーランドの剣道は、剣道の勝負を目指すだけに止まらない剣道を目指しているとのお話でした。

初日から6回の稽古と、第一回財団「波」主催の大会を通して感じたことは、第一に剣道に対する取り組み方が誠に立派であることでした。確かに技術的に高いレベル層は少ないと思いますが、稽古中や見学姿勢を見て全身で吸収しようとする真剣な姿は剣道理念である「剣道を人づくりに役立てる」剣道を実践されていると思います。

毎回の稽古会には初心者から上級者まで、多くの方が参加して頂きました。剣道の上達には段階ごとに効果的な方法がありますが、共通して学ぶべきことをしっかり守ることです。「守・破・離」という剣道の言葉がありますが、これは段階だけでなく、「守」とは基礎基本を「生涯」続けること、「破」とは常に「挑戦心」を持つこと、「離」とは未来に向かって日頃から「創造」する心で進化しなさい。と云うようにとらえて日々剣道を修錬していただきたい。

技が上達すると楽しくなります。技は個人の動きばかりに傾注し過ぎる傾向があります。しかし真の「技」の研究は、片時も相手を忘れず、呼吸、間合、機会、そして礼法を重視し相手あっての技であり、相手あっての剣道であることを思い出して下さい。

結び

稽古会終了後、財団の夕食会に呼ばれました。すぐ懇親会だと私達二人は構えていましたら、次々と周りからの質問攻めで時間は過ぎていったあの出来事はよいおみやげになりました。
その時に、応えきれなかった数々の質問に対し感謝の意味も込めて、別紙にて資料を付けておきます。

今回の温かい稽古会や武道祭で、お会いした多くの方々に心からお礼の意を申し上げたく存じます。本当にありがとうございました。

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剣道の理念

剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である
剣道修錬の心構え
剣道を正しく真剣に学び
心身を錬磨して旺聖なる気力を養い
剣道の特性を通じて礼節をとうとび
信義を重んじ誠を尽くして
常に自己の修養に努め
以って国家社会を愛して
広く人類の平和繁栄に
寄与せんとするものである

竹刀の本意

剣道の正しい伝承と発展のために、剣の理法に基づく竹刀の扱い方の指導に努める。
剣道は、竹刀による「心気力一致」を目指し、自己を創造していく道である。「竹刀という剣」は、相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でもある。
この修錬を通じて竹刀と心身の一体化を図ることを指導の要点とする。

礼法

相手の人格を尊重し、心豊かな人間の育成のために礼法を重んずる指導に努める。
剣道は、勝負の場においても「礼節を尊ぶ」ことを重視する。
お互いを敬う心と形(かたち)の礼法指導によって、節度ある生活態度を身につけ、「交剣知愛」の輪を広げていくことを指導の要点とする。

生涯剣道

ともに剣道を学び、安全・健康に留意しつつ、生涯にわたる人間形成の道を見出す指導に努める。
剣道は、世代を超えて学び合う道である。「技」を通じて「道」を求め、社会の活力を高めながら、豊かな生命観を育み、文化としての剣道を実践していくことを指導の目標とする。

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