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[Vol.76] ウメオeuropean eyes展と新たな出会い

第23回EU・ジャパンフェスト
写真展「日本に向けられたヨーロッパ人の眼・ジャパントゥデイvol.16」ウメオ展

岡本 明才

沢田マンションギャラリー room38 代表

私は初対面の人にもよく話し掛けたりするので、ちょっとしたきっかけで人と仲良くなったりします。European Eyes on Japanのキュレーターである菊田樹子さんとも偶然の出会いでした。2013年12月に立ち寄った大阪のギャラリーのイベントで通訳をされていた、菊田さんに高知から来たと伝えると「来月高知に行きますよ〜」となり、その場で連絡先を交換しました。そして、実際に2014年1月にニナ・コルホネンさん、3月にはアレキサンダー・グロンスキーさんが高知にやって来ました。

私は写真家として制作活動していますが、同時に「沢田マンションギャラリーroom38」の代表としても活動しています。(沢田マンションギャラリーroom38は、高知市にあるセルフビルドとして有名な沢田マンションの一室を借り、毎年募集した24名の作家が共同運営する自主ギャラリーです。)二人が高知に来るとなったら、こんな良い機会はないと、私たちのギャラリーでアーティストトークとギャラリーメンバーとの交流会を開催しました。そして、来年高知に来たら、カラオケパーティーをしよう!と約束して別れました。その後、菊田さんと高知での展覧会に向けて連絡を取り合う中で、5月にウメオへ行くこととなりました。

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まずは菊田さんの紹介でアーティストランスペース「ヴェルクリヒェッテン」との交流会です。互いの活動を紹介しあいましたが、行動力や考え方など驚くことばかりでした。ヴェルクリヒェッテンでは、ギャラリースペースでの展示の他にもレジデンスや地域住民とアートイベント等を開催するなど積極的に活動をしていました。彼らはそれぞれアーティストとして活動していますが、運営メンバーとして参加する期間はヴェルクリヒェッテンでは個人の展示は行わず運営のみに専念しているそうです。私達のギャラリーは自主的に活動しない人がいて一部の人に負担がかかっている事が常に問題となっていますが、彼らは自分の展示が無いにも関わらず運営に積極的に参加している事を不思議に思い質問したところ、「勉強になるから」と答えが返ってきました。まさにその通りで、私もなぜギャラリー運営をしているかというと自分の勉強のためなのです。

また、高知でも地域とアートが関係したイベントが開催され、必ずと言っていいほど地域活性化などを謳いますが一時的なイベントに終わり、活性化していないのが現状です。彼らは、自分たちの地域の問題点などをテーマにトークイベントを開催し、結果を提案書にまとめて地方議会に提出するそうです。その行動力には脱帽しました。この違いはなぜなのか、私なりに考えたところ、彼らのギャラリーの運営は助成金によって賄われているそうで、そこに会費制で運営している私達のギャラリーとの活動姿勢の違いがあるのではないかと思いました。つまり公から資金を得ている以上、ただ作品制作や展示をするだけではなく、より現実的な形で社会に関わり貢献していくという事を当たり前としているのだと思います。

次にウメオファインアート学園のビルド・ムセアット美術館でニナさんとアレキサンダーさんと待ち合わせです。7階建てで外装に唐松の化粧板が貼られ、ウメオの赤い屋根の街並みと調和がとれた川沿いに建つ非常に美しい美術館でした。久しぶりの再会に少し緊張していましたが、唯一練習してきた「Long time no see」も何とか言えました。ヴェステルボッテン・ミュージアムのマリアさんに案内して頂きながらみんなで展示を見て回りましたが、大学の美術館とは思えないほどの広さ、作品のかっこよさ。展示室は広く、スペースを気にする事なく見上げるほど大きな作品もあれば、電気や音といった様々なものを使った作品もあって自由に表現が出来る環境が整っている事が窺えました。高知大学の学生が学内で展示するときなどは、学生会館の一室で会議テーブルに作品を並べているのに。同じ地方の大学でも全然違う。ここでも違いを目の当たりにしました。

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European Eyes on Japanの展覧会会場ヴェステルボッテン・ミュージアムでは、菊田さん、ニナさん、アレキサンダーさんと10月の高知での展覧会の打ち合わせを行いました。今回はこの為にウメオに来たのです。打ち合わせなどスカイプなどでも行えるのでわざわざ会うことないのかもしれませんが、自分たちが進めていることを熱く伝えるには、直接会うのが一番だと思います。また、作品や他の会場での展示を見る事で高知での展覧会の参考にしたかったのです。実際に、顔を合わせてこちらの計画案を伝え、新しいアイディアをもらい、お互いの信頼関係が深まっていくのを感じました。

展覧会で初めて二人の作品を実際に目にしましたが、いつも見慣れたはずの高知なのに、ニナさんやアレキサンダーさんによって切り取られた事で何だか違うものに感じられました。けれども、展覧会を訪れたウメオの人の様子を見ていると、見たことのない異国の風景の中から、ウメオと似た所を見つけていて面白いなと思いました。そして高知の人が見たらどんな反応をするのだろうと・・・。

ここでの打合せから高知の展覧会が本格的に動き出しました。二人の作品を沢山の人に見てもらいたいと考えていますが、特に写真制作をしている人達に見に来てもらえるよう働きかけたいと思います。高知では「高知県美術展覧会(県展)」と言われる展覧会に入賞する事を目指して制作する人が多く、中でも特に写真部門は出品者が多いのですが、制作は熱心行うのに先生やグループ以外の若い人の展覧会を鑑賞することをあまりしません。その為新しいものを受け入れる事無く変化がありません。今回二人は、県展に良く出品されているテーマである高知の風景や人を撮影しているので、自分たちの目線と海外の作家の目線を比べてみて欲しいのです。そこで受けた衝撃で今後の制作に変化が起きる事を期待しています。

私たちのギャラリーでも変化が起きようとしています。ヴェルクリヒュッテンのメンバーが9月から高知でレジデンスを開催することが決定し、イベントを計画しています。古木さんから言われた「ヨーロピアンアイズが終わっても、独自で交流してほしい」そのきっかけを手に入れたウメオの訪問でした。

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