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[Vol.53] 永遠のファッション

第20回EU・ジャパンフェスト「Project Radar」に参加したスロヴェニア人デザイナー、
ネーナ・フロリアンチッチェ氏によるレポートです。

ネーナ・フロリアンチッチェ

デザイナー

ファッションは芸術だ。それは創造性、多様性、そして品質を表す手段であり、永遠である。

ファッション・デザイン、映像、写真、そして文学の世界より数多くのスロヴェニア人と外国人デザイナーたちが参加したスロヴェニアの夏のイベントProject RADARが、まさにこの言葉を言い放っているようでした。

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(c) Ana Hribar

イベントの核となった芸術的アイデアは、一つの流行や季節に捕らわれないファッションと芸術の個人的な解釈、すなわち「反抗的デザイン」とも呼べるようなものの発表と、それを楽しむこと。ファッション・デザインの世界が普段は季節や流行に方向づけられ、決定されていることに対し、今回参加したデザイナーやアーティストたちはこのような決まりを越えて、より季節感のないものを発表しようとしました。これは3日間、スロヴェニアのマリボルという小さな街にある3つの部屋をつなぐ絆となりました。色のバリエーションを減らし、その代わりに形と質感に焦点を置いたスロヴェニアのファション・デザイナーによる「オール・ホワイト」展に始まり、写真展やビデオ上映、ファッションショー、講義、そして円卓会議で幕を閉じました。イベントが行われた週末は、新しいアイデアと創造性に満ちあふれていました。

参加ファッション・デザイナーの中でも、おそらく最も来場者や同僚たちを刺激したのは、日本出身で現在パリにて活動をしている立野浩二氏と彼の仕事、人生、そして活気に満ちた性格だったでしょう。彼に会った人ならば誰もが賛成するように、これほど長く刺激的なキャリアと人生を歩んできたのにも関わらず、立野は驚くほど「現実的」。もしかしたら、このような背景があるからこそ、彼は落ち着きと興奮を併せ持っているのかもしれない。この姿勢はまた彼のデザインにも垣間見ることができます。

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(c) Rok Flego

私が彼の作品を初めて見たのはRadar展を構える手伝いをしにマリボルに到着した時で、すぐさま彼のデザイン、いや、芸術作品に感動したのです。全ての作品は物語、技術、そして素材において独特だったが、それらはまた、全て製作における苦労の痕跡がないという共通点を持っていました。個々のデザインが独自に成り立っていて、個人的にその達成はファッション・デザイナーとして最も難解な仮題だと思います。これは世界における数奇な天才にしか見られず、立野氏もその一人であり、この独自性においては彼の日本のルーツが最も感じ取れます。

Project RADARの一部であったミーティングでのインタビューで、立野は「ハイファッション」と「オートクチュール」がもはやブランド香水と贅沢な芸能人たちを喜ばせることにしか目的を見出していないと、非常に強い意見を述べました。このような姿勢は、90年代まで遡った彼のデザインにもはっきりと表れています。未だにモダンでアヴァンギャルドな雰囲気のあるこれらのデザインは、伝統工芸と現代技術を上手く組み合わせて初めて成り立つ。このように、立野は私たちに真実を語ってくれた ― 一着の洋服もしっかりとした考え方が定まっていれば、それは芸術となる。そして芸術とは永遠であり、時間を超越したものなのです。

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(c) Miha Sagadin

インタビューの最後に、立野は私たち若い世代のデザイナーたちに関して、もう自分たちのルールや野心を持つ時期だと語ってくれました。彼はデザイナーとアーティストが、創造的で革新的な人々、同僚や友人などに囲まれることがどれほど重要であるかを強調された。そして私たちは彼のいう通りにしたのです―展示から講義まで、二次会から夜遅くホテルへ戻る帰り道まで、イベントが行われた週末はアイデアを分かち合う精神で満ちあふれていました。

それ故、ある意味で私は立野氏をより近い存在として感じたのかもしれない。彼は(特に80年代は)多くの時間とエネルギーをアートとファッション界での積極的な活動に費やし、その時代の有名無名なアーティストたちと協力し、コミュニケーションを取り、そしてアイデアを語り合いました。このことを知り、私は人との付き合いがどれほど重要なことか、そしてProject RADARのようなイベントが与えてくれる機会が如何に貴重なものかに気づいたのです。

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(c) Miha Sagadin

イベントの根本的な仮題の一部ではなかったかもしれないけれども、スロヴェニアそして世界各地からの友人や同僚たちを集めるということが、この週末行われたイベントの本質であったことは参加者全員が感じていたことでしょう。EPKのチーム(欧州文化首都マリボル2012)、Project27、そしてEU・ジャパンフェスト日本委員会の協力により、創造的で新しいものを作り、それをメディアや多くの観客に発表することで、ゾクゾクするような経験をすることができたのです!

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