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[Vol.36] アールネ・サルヴェール氏のレッスンを受けて

第19回EU・ジャパンフェスト
「エストニア合唱連盟代表・指揮者 アールネ・サルヴェール氏による音楽ワークショップ」

馬目 佳代

仙台市立第一中学校 教諭

5月30日(月),アールネ・サルヴェール氏のレッスンが行われました。参加したのは,合唱部員18名(うち1年生8名)と,これから合唱団として練習を始める男子生徒13名の31名。ほとんどが合唱初心者なので,サルヴェール氏には発声を中心とした内容で進めて頂きました。

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始めに,エストニアの「歌の祭典」の話や,その中でサルヴェール氏がタクトを振っている様子などをDVDで見せて頂きましたが,その規模の大きさや日本の天皇・皇后両陛下も訪問されていたことを知り,生徒たちは皆驚いていました。エストニアの人々のエネルギーが画面から伝わってくるようでした。歌による無血革命で自由を勝ち取ったそのエネルギーなのだと感じさせられました。(エストニアに興味を持ち,ぜひ訪ねてみたいと言っていた生徒もたくさんいました。)

そして,いよいよレッスンです。我が校の合唱部の課題は「脱力」です。いかにして力まずに豊かな声を出すか,ということを意識して毎日練習しているのですが,どうしても固くて伸びのない声になってしまうのです。

サルヴェール氏は,とにかく「リラックス」するよう何度も生徒に声をかけていました。花が開くように手を開きながら声を出したり,足を動かしながら歌ったりと,体を動かしながらいろいろな発声を試みました。余計なところには力を入れず,しかし腹筋は常に緩めずにキープしていく,そのような発声を続けていくうちに,生徒たちの表情も次第に固さがとれてきました。そして,声も少しずつ柔らかくなり,伸び伸びと歌っているように私には感じました。

レッスン後,生徒に聞いたところ,「いつもとちょっと違う」と感じながら歌っていたようで,それぞれが自分の中で変化を体感していたのだと思います。

発声のレッスンの後,教科書に載っている曲を1曲指導して頂きました。(これからコンクールに向けて練習を始めるので,全員で合わせられる曲はそれしかなかったので…)サルヴェール氏は,日本語の歌詞なので内容はよく分からないが,と言いつつも,フレーズの処理の仕方・歌いまわし等,的確に指導して下さいました

その後全員で一つの輪になって歌いました。パートはバラバラ,目を閉じて,或いは電気を消して歌ってみるなど「心で聴き合う」ための方法を提示していただきました。やはりここでも,繰り返し歌ううちに変化が現れました。響きが自然と調和され,一体感が出てくるのです。生徒たちは,とても楽しみながら「心で聴き合う」ことに集中していたようです。

今回のレッスンをサルヴェール氏は,普段やっている事をアプローチの仕方を変えて行っただけ,とおっしゃっていました。とはいえ,音楽への情熱やエネルギー溢れるレッスンは生徒のみならず,私も日々の授業や部活動などに取り組む姿勢を改めて考えるよい時間となりました。

3月11日(金)の東日本大震災以後,仙台市内の中学校の学習環境も大変な状況にあります。津波で被害を受けた学校ばかりでなく,校舎が使用できずに体育館を仕切って教室にしている学校や他の施設を借りて授業を行っている学校など様々です。こういう環境では,子供たちが思う存分声を出して歌ったり,音楽の授業を楽しむことはできず,音楽科の教員の悩みは日を追う毎に募っています。そのような学校がたくさんある中で,我が校は幸いにも被害が少なく,震災前と変わらず音楽の授業や活動ができ,さらに今回,サルヴェール氏のレッスンまで受けられ,たいへん恵まれております。この恵まれた環境への感謝の気持ちを忘れずに今後の生活を送るとともに,仙台市の音楽活動が震災前の活気溢れたものに1日でも早く戻るよう,仙台一中でできることを生徒たちとともに行っていきたいと思います。

このような幸せな機会を与えてくださった,EU・ジャパンフェストの皆様に心より感謝申し上げます。

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