撮影した約1000枚の写真と3時間分のテープを見ながら今回の旅を振り返ろうと思う。
コーク空港へは予定より約1時間遅れの到着。冬のヨーロッパしか知らない私にとって一番の驚きは空の明るさ。時計を見るともう夜の9時過ぎ。でも冬は夜が長いのだから年間のトータルでは地球上日照時間は何処も変わらないな。そんなことを思いながらアイルランドの地へ一歩を踏み出した。そしてそこには予想以上の出会いや感動が待っていてくれた。それは今回の旅の前に事務局のスタッフの方が出来る限りのコンタクトをとっていただいた結果であることにとても感謝している。
コーク1日目。早い朝食を済ませ街へ。車が日本と同じ左側通行なのでとても歩きやすい。高いビルが殆ど無いので空がとても広く見える。そしてその広い空には至る所でクレーン車が何台も動いている、教会よりも高い所で・・・。目を下に向けると壊されている家、空き地、空き家、建築中のビル。次の日に会う写真家Mr. Dara McGrathの写真集「By the Way」と中に書いてある文章が頭の中を過ぎる。丘を下ると河に出た。川向こうに「SALGADO」の垂れ幕が見える。明日行く予定のギャラリー「TRISKEL」で始まった写真展である。8割ほど完成した真新しいギャラリーにSALRGADOの世界の貧困と飢餓、戦争の爪痕の写真が100枚くらい額装されて整然と並べられている。一昨年東京での写真展と同じように。Cork Vision Centerではポーランドの現代ポスター原画展に出会えた。挑発的な色とデザインが脳裏に焼き付く。街の中には「Cook 2005」のオレンジの垂れ幕やポスターがあふれている。偶然にも「Cook 2005」の広報センターを見つけ、多くのギャラリー情報を手に入れることが出来た。午後は迷子になりながらもギャラリーをいくつか廻り、長い昼間を楽しむ。
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打ち合わせをする 齋藤氏(左)とダラ・マクグラス |
コーク2日目。9時に通訳をしていただく古木さんがロンドンより到着。写真を勉強しておられるので、初めてお会いしたにもかかわらず話しがスムーズに進む。頼もしい限りである。11時。今回ワークショップをしていただく写真家Mr. Dara McGrath到着。早速打ち合わせに入る。お互いがより素晴らしく有意義で効果的なワークショップを行いたい、と言うことでは一致しているので話しは予想以上に速いスピードで進む。最近の写真事情なども話しながら、数時間の打ち合わせを終えた後、彼に案内をしていただいて、ギャラリー「TRISKEL」のMs. Emma Johnston と遅い昼食をとりながらギャラリーの運営や今の展覧会の情報を話していただく。その後コーク大学の中にあるGLUCKSMAN GalleryのDirector Ms. Fiona Kearneyに写真展の準備で忙しいにもかかわらず、初めての試みである北アイルランドとの交流美術展と明日から始まる写真展「Through the Looking Glass」を案内していただく。この写真展に作品を出されていて明日ダブリンでお会いする写真家Mr. David FarrellにMs. Fiona Kearneyからのメッセージをヴィデオに撮る。夕方空路にてダブリンへ。
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展覧会を案内するFiona Kearney (左から2番目) |
Triskelギャラリーでのミーティング。
右がEmma Johnston.
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ダブリン1日目。アイルランド滞在最後の日。12月に盛岡でワークショップをしていただく写真家Mr. David Farrellに10時に会う。昨日のMs. Fiona Kearneyからのメッセージを見せ、現在のアイルランドの写真教育やドイツやアメリカの写真の影響などについて話す。
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右がDavid Farrell. Fiona Kearneyからの ビデオメッセージを一緒にみて。 |
その後、彼の案内でテンプルバーにあるNATIONAL LIBRARY of IRELANDやGALLERY OF PHOTOGRAPHY、Temple Bar Gallery and Studiosを見学。GALLERY OF PHOTOGRAPHYでは地下にあるレンタル暗室やデジタルルームにも特別に入れていただいた。夜はダブリンで中学校、高等学校、大学で写真の講師をしている写真家Mr. Liamとの現代写真についての話しをする。
アイルランドという国、そしてそこでアーティストとして活躍されている人たちに会い、私が再認識させられたのは、私たちの地球を取り巻く環境や人の心は確実に変化しているということと、それが人間にとって全てが良い方向へ向かっているとは思えないということだった。
そして写真家はそのことを被写体こそ違うが撮り続け、発表し続けているのだ。生活、風景、子供、戦争、飢餓等々・・・。
北アイルランドとアイルランドの合同美術展が初めて開かれた現実や子供だけの被写体写真展「Through the Looking Glass」をみて鳥肌が立った。そしてその自分をもう一人の自分が見ているという人間のもつ精神的多重構造こそが実は問題であることに気付かせてくれた今回のアイルランド訪問はこれからの私の生き方に大きな影響をあたえることになった。 |